お別れの席・悲しみの席のジュエリーマナー

 年齢を重ねるとお別れや悲しみの席に連なることが多くなります。その都度、装いやマナーが気になってインターネットで調べたり、両親や年配者に相談したというご経験はありませんか。
 お別れや悲しみの席に欠かせないジュエリーと言えば真珠です。「涙の象徴」とも言われる真珠は、装いに「悲しみを添える」という意味で喪の席に相応しいジュエリーです。
 ただ、喪の席での装いは最も気を遣うところです。いっそ何もつけないほうが良いという方もいますが、洋服にはジュエリーを着けるのが正式であり、喪の席できちんと正装することが故人や遺族の方への敬意をはらうことになります。
 本日は女性のたしなみとして知っておきたい、お別れの席・悲しみの席のジュエリーマナーについてお話し致します。

礼装ジュエリーとしてふさわしい真珠

 お別れ・悲しみの席においてフォーマルな装いは、ジュエリーを着けることで完成します。喪の色は黒・白・グレーですが、その無彩色の世界にも装う人の個性はおのずから滲み出ます。
 まずは礼装ジュエリーとしてふさわしい真珠をご紹介いたします。

アコヤ真珠

 20代、30代の女性にはアコヤ真珠がふさわしいでしょう。色はを選びます。お嬢様が成人を迎えたら、アコヤ真珠のネックレス、イヤリング(またはピアス)、は買いそろえておきたいですね。
 可憐で華やかな雰囲気をもつアコヤ真珠は結婚式や入学式などのフォーマルシーンにも欠かせない存在です。皇室や王室の方々も公の場で身に着けられるほど、真珠は世界的に見ても格式の高いジュエリーです。

黒蝶真珠

 最近不祝儀でよくつけられている黒い真珠、気になっておられる方も多いと思います。黒真珠、タヒチ真珠とも呼ばれる黒蝶真珠は、日本よりはるか南の海のタヒチで採れる海外の真珠です。サイズは約8~13mmのものが主流です。日本の海で採れるアコヤ真珠が約7~9mmなので、比べると粒が大きめで、色は天然で濃い目が一般的です。
 年齢を重ねた女性には黒の真珠を身に着けることで、奥ゆかしく大人の品格を纏った装いになります。また黒蝶真珠は喪の席のみならず、同窓会やお食事会などの華やかなシーンにもご活用いただけます。

アコヤ真珠グレー

 アコヤ真珠グレーは一番馴染みのある白い真珠をグレーに染めたものが一般的です。稀に天然のグレーのものもありますが採れる量が少なく希少です。グレーの真珠は優しい印象を与えます。
 礼装ジュエリーとして50代以上の方には黒、グレー系が望ましいと言われています。黒蝶真珠とアコヤ真珠グレーは、着けてみると違いは一目瞭然です。自分に合うのは黒なのかグレーなのか、さらには珠の大きさなど、お好みや肌の色、全身のバランスを鏡で見ながら選びましょう。

喪の装いについて

 喪の装いは故人との関係、参列する立場、式典の種類によって服装の制約の多いものから、正喪服、準喪服、略喪服の3つに分けられます。
 喪主やその家族、近親者はお通夜や葬儀に正喪服(ブラックフォーマル)を着用します。正喪服は最も格式が高い装いですので、ジュエリーは喪のジュエリーとして格式の高い真珠のネックレス、イヤリング、リングを着けます。
 準喪服(ブラックフォーマル※パンツスタイル可)、略喪服(ダークカラーのスーツなど※パンツスタイル可)になるに従って装いの制約が緩くなり、それに応じて使用できるジュエリーの範囲も増えます。立場や状況に応じて、お選びいただくことをおすすめいたします。

ネックレスの選び方のポイント

 真珠のサイズは、着ける方の全身のバランスに合わせて大きすぎないものを選びます。アコヤ真珠(白またはグレー)は約7mm~9mmのものを、黒蝶真珠であれば約8mm~13mmのものが良いでしょう。珠のサイズは体型により変わります。お店で色々なサイズを試してみて下さい。
 長さは、一連の首に添うものを選びましょう。ネックレスは真珠の珠を外して短くしたり、珠を増やすことで、着けた時に最も美しく見える長さに調節します。お洋服にもよりますので、店の担当者と相談しながら長さを決めましょう。
 ネックレスの二連、三連は不幸が重なるという意味があり、ロングネックレスは悲しみが長引くと言われるため喪の席では避けて下さい。金色のゴールデンパールやマルチカラーの真珠、形が丸に整っていないバロックパールと呼ばれる真珠も遠慮しましょう。

イヤリング(ピアス)の選び方のポイント

 イヤリングは一粒タイプのものを選びます。涙の雫のような形のマベパールも喪の席にふさわしい真珠です。準喪服や略喪服でしたら、例えばネックレスを白、イヤリングをグレーというように色の違うジュエリーを着けてもマナー違反にはなりません。
 地金はプラチナ、ホワイトゴールド、またはシルバーなどの白を選びましょう。髪で見えない場合はゴールドでも構いませんが、出来れば避けて下さい。真珠がぶら下がったり、揺れるタイプのデザインも望ましくありません。パールが複数留められたものや、派手なデザイン、ダイヤやルビー、サファイアなどの貴石が留められたものも避けましょう。

リングの選び方のポイント

 一粒珠が望ましく、喪主以外の方なら一粒珠の両サイドに小さなダイヤモンドが1石ずつ、もしくは2石ずつくらいの派手に見え過ぎないものにして下さい。その他の宝石がキラキラ輝いているものやデザインのあるものは避けましょう。
 地金はプラチナ、ホワイトゴールドまたはシルバーを選びます。ゴールドの地金は避けましょう。

ブローチの選び方のポイント

 控えめなデザインの真珠のブローチは喪の席にふさわしいジュエリーです。ジャケットやワンピースの衿ぐりにそわせて着けましょう。急な弔問には略喪服に真珠のブローチを着けるだけでも、故人をしのぶスタイルになります。鏡でバランスを見ながら、最も良い位置に留めて下さい。
 ブローチは一粒の真珠か、真珠が複数の場合は3つまでにとどめましょう地金はプラチナ、ホワイトゴールド、シルバーを選びます。揺れるタイプや派手なデザイン、イエローゴールドなどの白以外の色の地金は避けましょう。

皇室はジェットをご使用

 皇室やヨーロッパの王室では、モーニングジュエリー(喪に服す期間、故人を追悼するために身に着ける装身具)としてジェットを使います。樹木の化石であるジェットは、非常に軽く手入れの簡単な宝石です。価格も真珠に比べリーズナブルですのでお気軽にお買い求めいただけます。
 日本の女性皇族でも使われているジェットは、品格のある装いになります。準喪服や略喪服のコーディネートに、急な弔問には通勤服などの地味な平服にジェットのブローチやイヤリングを着けるだけで、故人をしのぶ装いになります。

黒のジュエリー

 喪のジュエリーとして皇室に使用されているジェットをはじめ、オニキスや黒曜石、珊瑚やメノウも喪の席にふさわしいジュエリーです。黒のジュエリーを用意しておくと、急な不祝儀のときにも安心です。真珠や珊瑚をのぞいて、喪の席のお道具ジュエリーとしてふさわしい色は黒です。メノウなどを着けて参列する場合、宝石の色は黒で統一してください。キラキラ輝く宝石や、華美な装飾のあるものは控えましょう。


 喪の席は突然訪れます。いざ着けようと思いケースから取り出すと、真珠のネックレスの糸が緩んでいたり、イヤリングの金具から珠が取れてしまっていた、指輪が入らないということがあります。必要な時に困らないよう、定期的な糸替えやメンテナンスを心掛けましょう。
 ジュエリーカジタでは、当店でお求めいただいた真珠のネックレス(40cm前後の連)は永年糸替え無料です。糸替えのタイミングで長さの調節も出来ますので、是非お申し付け下さい。