アイオライト Iolite

 アイオライトという宝石をご存じですか?一昨年「3月の新誕生石」として追加された宝石です。深みのある藍色の宝石ですが、まだ馴染みがない方が多いのではないでしょうか?今回はアイオライトをご紹介いたします。

 アイオライトは、気品ある深く青みがかった藍色が美しい石です。和名では「菫青石(きんせいせき)」と呼ばれており、ブルーの発色は結晶に含まれる鉄が生み出しています。
 アイオライトの特徴は、光にかざしながら方向を変えて見てみると、紫がかった青色、ごく淡い青色、灰色がかった黄色など違う色合いを見る事が出来ます。この現象を「多色性」と言い、アイオライトを楽しむポイントです。同じように多色性を持つ石に、タンザナイト、アンダリュサイト、スフェーンなどがあります。

名前の由来は?

 アイオライト(Iolite)という宝石名の語源はギリシャ語の「ion(すみれ色)」と「lithos(石)」に由来しています、正式な鉱物名はコーディエライト(Cordierite)といいます。アイオライトが3月の誕生石に追加されたのは、コーディエライトの名前の由来となったフランスの地質学者が3月生まれだったことが理由だそうです。

主な産地

 アイオライトは、スリランカ、ミャンマー、タンザニアなどが主な産地です。堆積層ではなく川床から採れることが多く、見た目がサファイアに似ている事から、「ウォーターサファイア(海のサファイア)」と呼ばれる事もあります。実際にはサファイアと比べると黒みを帯びた青色で、モース硬度もサファイア(モース硬度9)より7~7.5と低く、一方向に完全な劈開(※)を持っています。カット、研磨、石留めの際には特別な注意が必要なデリケートな宝石です。衝撃などに弱く、表面キズが付きやすい石なので、ハードワークをされる際には外していただくことをおすすめします。

※【劈開:へきかい 英: cleavage】結晶や岩石の割れ方がある特定方向へ割れやすいという性質のこと。

 はるか昔、バイキングたちは航海の際に自らの位置を知るため、アイオライトを羅針盤にして使用していたそうです。そのためアイオライトは「バイキングの羅針盤」とも呼ばれ、自分の進むべき道を迷うことなく見つけ出し、目標を達成する道しるべの象徴とされてきました。

アイオライトの変種

 アイオライトは透明度が高く、インクルージョン(内包物)が少ないのが一般的ですが、中にはインクルージョンを多く含む原石があります。アベンチュレッセンスという目に見える小さな板状の銅やヘマタイトなどの内包物からの反射光によって引き起こされる光学的効果が特徴です。メタリックな光をキラキラと反射させ、「アイオライト・サンストーン」や「ブラッドショット・アイオライト」などの名称でパワーストーンなどを扱うお店で販売されていることがあります。また、一方向に平行に並んだルチル(針状結晶)のインクルージョンを含むアイオライトは、キャッツアイ効果が表れるものもあるそうです。
 残念ながら当店ではまだ取扱いがないアイオライトの種類ですが、これからどんどん宝飾の市場にも出てきてほしい宝石ですね♪

3月の誕生石

 2021年12月に63年ぶりに誕生石が10石追加され、3月はアイオライトとブラッドストーンが誕生石に加わりました。3月はアクアマリン・珊瑚・アイオライト・ブラッドストーンの計4種類と誕生月の中では一番多く、さらに選択肢が広がりました。
 当店でもアイオライトの製品は以前から取り扱いがありましたが、追加される以前は他の宝石に比べて商品量は少なく、店頭であまりご覧いただける機会がありませんでした。追加後は、ピアスやネックレスなど種類が増え、手にとっていただけることが多くなりました。
 

結婚記念石

 アイオライトは、結婚21周年を祝う結婚記念石に選ばれています。生まれた月によって誕生石があるように、結婚年数によって結婚記念石があります。それぞれに込められた意味や力があり、贈られた人の結婚生活を見守り、強い味方になってくれると言われています。
 うっかり結婚20周年のお祝いを忘れてはいませんか?さりげないサプライズのプレゼントとして、ご家族のお守りストーンとして、アイオライトを贈られてはいかがでしょう♪

 しっとりとした落ち付きのあるバイオレットブルーは男女問わず人気が高く、特にピアスなど揺れるタイプや、光を通すデザインの商品は多色性が楽しめるのでおすすめです。


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