長寿のお祝いのことを「年祝い」「賀寿(がじゅ)」などと呼び、古くから人生の大切な祝い事として受け継がれてきました。かつては数え年で祝われていましたが、最近では満年齢の誕生日か、あるいはその前後の休日など、親族が集まりやすい日を選んで行われることが多いようです。また、今の60歳はまだまだ現役で活躍中の人も多く、70歳の古稀から祝う場合が増えているようです。
今回は主な年祝いの記念の宝石をご紹介いたします。
還暦
昔の暦では十二支(干支)と十干と組み合わせた十干十二支があり、この組み合わせが60年で一巡します。十干とは「甲木(きのえ)」「乙(きのと)」「丙(ひのえ)」「丁(ひのと)」「戊(つちのえ)」「己(つちのと)」「庚(かのえ)」「辛(かのと)」 「壬(みずのえ)」「癸(みずのと)」の総称です。61年目は生まれた年と同じ「暦」に「還る」ことから還暦と言い、新しい生まれ変わりを祝うもので、赤ちゃんに戻るという意味合いから赤いものを贈る風習が生まれたと言われています。
長寿祝いにはそれぞれテーマカラーが設定されています。還暦のテーマカラーは赤です。還暦のお祝いには赤いジュエリーを贈って、美しさに磨きをかけていただきましょう。
ルビー
7月の誕生石で石言葉は「生命力」「情熱」「勇気」「威厳」です。燃えるようなルビーの赤色に、人々は古くから特別な意味を見出してきました。ヨーロッパでは、ルビーにはマース(軍神)が宿ると考えられ、兵士たちはこぞってルビーを身に着け戦いに臨みました。ルビーはカラーストーンのなかでも最も強力なエネルギーを宿しているとされ、魔除けの効果もあると信じられてきました。
珊瑚
3月の誕生石で石言葉は「確実な成長」「家長の威厳」「長寿」「聡明」「幸福」です。 珊瑚には気持ちをリラックスさせ、緊張感やマイナス思考を取り去り、心のバランスを回復してくれる効果があると言われています。妊娠や出産、産後のお守りとしてだけではなく、旅行のお守りや魔除けとして古くから珍重されてきた宝石です。イタリアでは多くの船乗りが、航海安全のお守りとして身に着けてきた歴史もあります。珊瑚は天然素材のため、同じデザインでもひとつずつ色合いや形が微妙に異なるのも魅力です。
ガーネット
1月の誕生石で石言葉は「真実」「情熱」「友愛」「繁栄」「実り」です。 変わらない愛情や変わらない友情、忠実さなど多くの意味を持つ宝石です。ガーネットは和名をザクロ石です。ガーネットにはさまざまな色のバリエーションがあり、ブルー以外のすべての色があると言われています。
古稀・喜寿
古稀(70歳)は「人生七十、古来稀ナリ」に由来し、昔は元気で70歳を迎えることは稀だったそうです。喜寿(77歳)は「喜」という字を草書体で書くと七を重ねた「㐂」という字になり、「七十七」に見えることが由来と言われています。
古希と喜寿のテーマカラーは紫です。紫は日本の歴史上の事柄からみても、高貴な色とされています。日本で最初の冠位制度と言われる聖徳太子が制定した冠位十二階という階級区分で、もっとも位が高かったのが大徳の紫色です。また古代中国や西洋でも、紫を生み出す原料は希少だった
ため、限られた身分の人しか紫色のものを身に着けることができない時代がありました。
アメシスト
2月の誕生石で石言葉は、「真実の愛」「心の平和」「誠実」です。 愛を守りながら育む力を与えてくれるといわれており、「愛の守護石」とも呼ばれています。和名を「紫水晶」といい、その名の通り紫色をした水晶の一種です。紫色の宝石といえばアメシストを連想する人も多いほど、その美しい紫色が特徴的です。内包物が少ないことから透明度が高く、ガラスのような光沢を放っています。カラーストーンとしても人気が高く、歴史的価値のあるハイブランドのジュエリーにもアメシストが多く使用されていました。色は淡い紫色から青紫、赤紫、ダークな紫までありますが、濃く深みのある紫色や赤みが強い紫が高品質なアメシストとされています。
傘寿・米寿
傘寿(80歳)の由来は傘の略字を「仐」と書いた時、文字の見た目が八十と似ていることからと言われています。米寿(88歳)は「米」の字を分解すると、八と十と八になることから米寿と呼ばれるようになりました。日本は昔から農耕文化を中心としており、「米」という字への思いも強く、盛大にお祝いする地域もあるそうです。傘寿と米寿のテーマカラーは黄色や金茶色です。
シトリン
11月の誕生石で石言葉は、「富」「繁栄」「幸運」「成功」です。太陽の光に似た色から「太陽のエネルギー」をもつ石、または黄金色に輝くその姿を黄金に重ねて、持ち主に豊かな富をもたらす「幸運の石」と言われています。
卒寿・白寿
卒寿(90歳)は「卒」の俗字である「卆」が九十と読めることに由来しており、日本独自の長寿祝いの習わしとされています。99歳の長寿をお祝いは「白寿」です。「百」という漢字から「一」を引くと「白」となることから、「100―1=99」と読めるため「白寿」と名付けられました。また、「人も99歳を迎えると世俗の垢が落ち、俗人の域を超越した仙人のような存在になるのではないか」という考えから、白髪に白い髭という出立ちを彷彿とさせる仙人にあやかって「白寿」と呼ぶ、という説もあるようです。昔は99歳まで長生きすることがとても珍しかったため、お祝いされることはほとんどありませんでした。白が長寿祝いの色とされています。
クオーツ「水晶」
石言葉は「純粋」「無垢」「神秘的」「繁栄」です。水晶は非常に優れた浄化作用をもたらす石として知られています。 また水晶はすべてのものに対しての調和を生み出し、それらをうまく統合させ、よりいっそう強力なパワーを発揮させるように導いてくれるとも言われています。
ダイヤモンド
4月の誕生石で石言葉は 「純潔」「純愛」「清浄無垢」「永遠の愛」です。強いパワーを持つダイヤモンドは、その硬さや輝きからスピリチュアルの世界でも圧倒的な強さを持つ石と考えられ、人間関係を円滑にしてくれる宝石とも言われています。
パール
6月の誕生石でパールの石言葉は「純粋」「健康」「長寿」「富」です。 母貝の中でその美しい輝きを 形成することで生み出される真珠は愛情の象徴であり、大切な家族への贈り物にもぴったりです。
人は、誕生してからさまざまな節目を迎えます。通過儀礼は、そうした人生の節目を、家族や親族、親しい人たちと共に分かち合うしきたりです。昔に比べて人付き合いが希薄になり、儀式が簡略化される傾向にある昨今ですが、これらを通じて命の尊さや生きる喜び、先祖とのつながりなどを感じるとともに、深い愛情で結ばれた互いの絆を確認することができます。
記念に残せる贈り物として、お出かけの際に活躍するリングやネックレス、ブローチなどは気軽に着けやすく喜ばれます。贈り物のポイントは若々しさです。一昔前は赤いちゃんちゃんこで祝った還暦ですが、今や60歳はまだまだ現役の世代なのです。
普段だとお互いに照れるところですが、せっかくの節目です。お祝いの気持ちを宝石に託してみてはいかがでしょうか。