カメオの世界へようこそ

 『カメオ』というジュエリーをご存知ですか?
カメオとは、シェル(貝殻)・瑪瑙(メノウ)などに浮き彫りを施した工芸品のことを言います。

 絵柄は神話を題材にした古典的なものが多く、19世紀には鎧を着た男性の横顔から、女性の横顔へと絵柄が変化し、女性の優しさをあらわすジュエリーとして人気を集めました。厚みのある貝殻に浮き彫りを施したものは「シェルカメオ」、瑪瑙に施したものは「ストーンカメオ」と呼ばれています。
 今回はその造形美に魅了されるコレクターが多いカメオジュエリーをご紹介致します。

まさに芸術品「身につける絵画」!

 まず、当店にあるシェルカメオブローチの商品をご紹介致します。

 イタリアカメオ界の巨匠「カルロ・パルラーティ」。鬼才と呼ばれ、カメオ好きならご存知の方も多いと思われます。何といっても、その切れ長の眼光鋭い眼差しやダイナミックな表現力、髪の毛のウェーブの美しさは芸術品そのものです。残念ながら2003年に他界、世界を代表する作家の死はコレクターのみならず、多くのカメオファンを悲しませました。現在は、娘のパトリシア・パルラーティがその意思と技術を受け継ぎ多くの作品を手掛けてまいす。死後約20年が経ち、これから巨匠カルロの作品はさらに入手困難になることでしょう。
 当店でも、カルロ・パルラーティの作品は店頭には並べず大切に保管しております。ご興味のある方は、お声掛けください。

シェルカメオの素材は?

《サードニクス・シェル》
 「チョコカメオ」と呼ばれ、チョコレート色地と白地の層からなり、カリブ海で採取される貝です。コントラストが明確に出るので、カメオ彫りを施したランプシェードなどの工芸品に多く使用されます。外側部分は薄く割れやすいため、柔らかな表情、髪の毛や風景などの繊細な彫りは、高い技術が必要となります。上の画像の作品は、天使のやわらかい表情や指先、周りの木々や植物まで細部まで表現されています。

《コルネリアン・シェル》
 サードニクスシェルに比べて小ぶりで、東アフリカ沿岸で採取される貝です。
赤茶系をベースに白地の層が重なっており、シェルカメオではもっともなポピュラーなものです。コルネリアン・シェルは、上の画像のように、ホワイトの層に顔など絵柄を彫り込んでいき、赤茶色地部分で髪の毛や装飾品を飾り込み、白地のコントラストを生かして立体感をつけるのが特徴です。ピンクオレンジの柔らかいカラーが女性らしさを表現してくれます。
 次に、貝の厚みを活かした3層彫りをご紹介致します。

3層彫りカメオとは?

 厚みのあるシェルの3層の色の違いを、髪の毛・顔・背景など上手く彫り分け、立体的な質感を高めています。髪の毛の先端のカール部分は赤茶地と白地が混ざる部分、顔は白地、背景は赤茶地と彫刻することで、正面からだけではなく色々な角度から楽しめる作品です。

シェルカメオのチェックポイントは?

 シェルカメオを選ぶ時、どこを見れば良いか分からないという方に、簡単なポイントを3つご紹介いたします。

チェックポイント
シェルに厚み(立体感)がしっかりとあるか、ひび割れがないかチェック
シェルの色のコントラストがキレイにはっきり濃く分かれて凹凸があるかチェック
彫りが細かい部分まで仕上げられているかチェック

以上の3点に注目して選ばれると、素敵な商品との出会いがあるでしょう。

 また、カメオ作品はルースに合わせたイメージでフレームを作成することが多く、ベビーパールで周囲を取り巻いたり、金で蔦などの植物や小鳥などの動物を細工を施したり枠も楽しめる作品が多くみられます。小ぶりなピアスやペンダントトップなどは若い方にも人気が高く、合わせ方によってレトロ感あるカメオがスタイリングのポイントとなり、カジュアルダウンしてお使いいただけます。
     

ストーンカメオとは?

 メノウカメオとは瑪瑙(メノウ)という宝石をカメオ彫りしたものです。中でも、カメオに使用される瑪瑙は、産出する約1割に結晶化したまっすぐな白い層をもつ縞瑪瑙。異なる層の色のコントラストを利用して美しいモチーフを表現できます。シェルカメオより強度があるので、普段使いにおすすめのカメオです。

 ところで「インタリオ」という言葉は耳にされたことはございますか?カメオ(浮き彫り)とは逆で「沈み彫り」という模様を沈ませて彫った物をいいます。これらの技法は古代ギリシャ・ローマから中世を経て発展し、ルネッサンス時代より印章(シール)と呼ばれる手紙等の封蝋に押すスタンプなどに施されました。
 琥珀の商品によく使用されてる技法で、ぷるんとした艶やかな琥珀の中に、繊細な薔薇や小鳥・猫など彫刻され、当店でも人気の商品です。

カメオのお手入れ方法

 シェルカメオは乾燥に弱く、ストーンカメオは汚れが染みつきやすい特徴があります。そのため、年に1、2度はお手入れが必要です。軽い汚れは、柔らかいブラシや消しゴムなどで軽くこすると落ちますが、力を入れ加減が不安だったり、枠の細工にパールなどの装飾がある場合は、宝飾専門店へご相談いただくことをおすすめいたします。


 カメオは2つと同じものはありません。作家ものに限らず、機械で荒彫りした若手作家の作品もひとつひとつ表情が違います。宝石と同じくご自分の感性や心に響く、とっておきのお気に入りのカメオに出会えたら素敵ですね♪
 店頭には、ピアス・ペンダントトップ・ブローチなどのアイテムが並んでおります。幅広い世代でご愛用頂けるカメオジュエリーを、是非お手に取ってみてください♪