スピネルという宝石をご存知でしょうか。「8月の新誕生石」として追加され、今、大変注目を集めている宝石です。多くの方は8月の誕生石と言えばオリーブグリーンの色をしたペリドット、という印象が強いのではないでしょうか。
今回は、カラーバリエーションの豊富なスピネルをご紹介いたします。
皇太子のルビー
イギリス王室に受け継がれてきた大英帝国王冠。世界に2番目に大きい317.40ctのダイヤモンド「カリナンⅡ」の上部に、140ctものレッドスピネル、別名「黒太子のルビー」が留められています。しかし、「レッドスピネル」なのに名前が「ルビー」、とついているのは少し不思議に思いませんか。実は、このレッドスピネルは、長い間ずっとルビーだと思われていました。18世紀までルビーとスピネルは混同されており、後世にこの赤い宝石はルビーではなくレッドスピネルだと判明したそうです。
レッドスピネルの赤色は、光の屈折の特徴から単屈折のため、ルビーの複屈折よりも澄んでより濃く輝きます。レッドスピネルと判明した現在でも、ルビーに引けを取らないその美しさと風格が、歴史ある王冠にふさわしい宝石として鎮座しています。ミンクの毛皮に5大宝石であるエメラルド・サファイア・ルビー・ダイヤモンド・真珠を余すことなく見事な細工で飾った、これ以上ないくらい豪華絢爛な王冠です。ぜひ一度、実物で拝見してみたいものです。
名前の由来は?
スピネルの原石は、「尖晶石」(センショウセキ)と呼ばれるほど、結晶の先がとがっていることから、ラテン語で棘(とげ)を意味する「Spina(スピナ)」が語源とされているそうです。また一方では、赤く火花のように煌めくことから、ギリシャ語で閃光を意味する「スピンタリス」が語源とも言われています。スピネルは、マグネシウムとアルミニウムの酸化鉱物です。八面体の自形結晶、あるいは塊状で塩基性火成岩、アルミニウムに富む変成岩、熱変成された石灰岩などに含まれます。原石好きのコレクターからも人気の高い宝石です。
主な産地
スピネルの主な産地はスリランカ、タンザニア、ミャンマーなどです。特に高い評価を得ているのはミャンマー産のスピネルで、色が濃く高品質なものが採掘されます。ミャンマーのモゴックで産出される色が濃いタイプと、タンザニアで産出される淡い色とで品質のチェックがされています。
そして、スピネルには様々なカラーがあります。
スピネルの種類
スピネルは、各色が揃うと言われるほどカラーバリエーションが豊富な宝石です。透明度が低いものも多く産出されますので、透明度の高いクリアな原石を厳選してカットしています。
一番の人気は、濃いレッドやピンク色の発色の良いカラーです。クロムの含有量が多いと透明度の高いレッド、鉄とクロムが混ざった場合はオレンジやパープル、コバルトを含むと鮮やかなブルーが発色され、鉄のみだと深いブルーやグレーなどの落ち着いた色調になるそうです。
スピネルを選ばれる際のポイントは色の濃さ、そしてクリアかつ、テリがあることを重視していただくと良いでしょう。スピネルは内包物が少なく透明度が高いので、様々なカットが可能です。下の画像のようなボタンカットを施した連ネックレスも非常に人気があります。
15年程前にブラックダイヤモンドの連タイプのネックレスが大ブームになった時期がありました。それと同時期に、ブラックダイヤに見た目もよく似ており、安価で手に入るブラックスピネルのネックレスも大変人気が出ました。今では、ブラックダイヤモンドのネックレスの人気は、正直なところ下火になってますが、ブラックスピネルは定番になり、琥珀や天然石のペンダントトップを通したジュエリーとして店頭に並んでいます。淡水真珠や地金のチェーンなどと重ね着けしてレイヤード使いをしたり、ペンダントトップを通してチェーンとしても気軽に楽しめるため人気です。
上記の画像は、お客様が使わなくなったブラックスピネルのネックレスやパワーストーンのブレスレットなどを、バラして当店で組み直したものです。いつも身に着けるお気に入りのネックレスが決まってきたり、集めすぎて着けなくなったパワーストーンのブレスレットがあるという方は、気分も新たに組み替えてイメージチェンジされてみてはいかがでしょうか?
当店でも大変ご好評をいただいております。是非、リフォーム事例もご参考くださいませ。
詳しくはこちら→リフォーム事例
人気NO.1 ピンクスピネル
スピネルの中でもピンク色のスピネルは、ルースコレクターからも大変人気の高い宝石です。産出量が少なく希少性が高いことから、カラット数のあるものは高値で取引されています。上記画像のような濃い色をしたスピネルは、滅多に出会えない代物なのですが、レアストーンフェアなどのイベントでは、特別に店頭に並ぶことがあります。「気になる!」「興味がある!!」という方は、当店で開催されるレアストーンフェアに足をお運びくださいませ♪
※2024年8月23日(金)・24日(土)開催予定です(来店日時は要予約)
詳しくはこちら→イベント情報
8月の誕生石
もうひとつの8月の誕生石は、シャインマスカットのようなオリーブグリーンが人気のペリドットです。黄緑色は肌に合わせるのが難しく、ペリドットを着けこなす方は、かなりのジュエリー上級者と言われています。またペリドットは「イブニングエメラルド」とも呼ばれ、薄暗い間接照明や蝋燭の灯りなどでもテリ良く輝きます。他の宝石と組み合わせて、四つ葉などのモチーフやアミュレットジュエリーなどにもよく使用されています。
スピネルは、他の宝石に比べてまだまだ商品数が少ないため、これからデザインの種類も広がりやすい宝石だと言えます。真っ赤なスピネルは、コーディネートのワンポイントとして大人っぽく、ピンクのスピネルはかわいらしいコーディネートにピッタリです♪
8月の誕生石「ペリドット」と一緒に、お好みのスピネルもコレクションしていただきたいですね。
お手入れ方法
スピネルはご自宅でも簡単にお手入れできます。お手入れ方法は、ジュエリー専用のクロス、もしくはメガネ拭きなどの柔らかい布で優しく拭いてあげることです。汚れがひどい時は、超音波洗浄機を使用したり、もしくはぬるま湯に中性洗剤を溶かし数分浸けた後、先の細い毛先のブラシなどで軽く磨いてあげてください。連タイプのネックレスは、ナイロンコーティングや形状記憶のワイヤーなどで石をつないでますので、しっかりとすすいで水気をきってから、自然乾燥してください。すすぎや乾燥が十分でないと中のワイヤーがサビてしまい、切れる原因になりますのでご注意ください。ご自宅でも汚れが取れない場合は、当店もしくはお近くの宝石専門店にてクリーニングをされることをおすすめします。
まとめ
スピネルは、長きにわたり誤解され続けてきた苦難の歴史を持つ宝石です。ルビーやカラーサファイアと色味が似ているため、スピネルは貴石(ルビー・サファイア)より地位が下がってしまってました。しかし、スピネルは貴石に劣らずモース硬度が8と高く、加工しやすくテリの良い宝石なので、近年評価が上がりつつあります。今までの「類似石」というイメージはなくなり、ルースコレクターが現れるほど、人気が上昇してます!これまでスピネルを知らなかった方も、宝石選びをする際の候補に入れてみてはいかがでしょうか(#^.^#)