喜平ネックレス

 喜平とはネックレスやブレスレット等のチェーンのつなぎ方、形の総称です。
 小豆型の輪をひねりプレスした物をつなげたデザインで、プレスしたことでできた面の連なりが美しく、非常に頑丈で重厚なデザインになります。加工方法や素材で様々な種類が存在し、日本国内ではバブル期から非常に人気のあるデザインです。近年では金の価格の高騰もあり、資産として購入される方もいらっしゃいます。

喜平のカット

 喜平の語源は諸説ありますが、ひとつは『喜平』という名の職人がデザインを考案し、その名がつけられたという説。もうひとつは、アメリカの南北戦争において騎兵が使用していた刀具、馬具である『グルメット(軍刀吊り金具・轡鎖 くつわぐさり)』が由来とされ、騎兵の鎖から騎兵のチェーンが転じて喜平チェーンとなった説が有名です。
 喜平の形状は、鎖の環(コマ)を90度にひねってプレスした形状をしており、プレスされた面の(カット面)の数で輝き方が変わってきます。一般的に喜平のアクセサリーといえば、環(コマ)が大きく存在感のあるデザインをイメージされますが、太さ(幅)や長さ、カット数や編み方によりデザインのバリエーションに特化しています。女性用としてコマが小さく細いものなど、多種多様なタイプの喜平が販売されています。

2面シングル

 上下併せて2平面に囲まれたチェーン。コマが一つのタイプ。反射面が少ないので、同じ重さのダブル喜平と比べるとスリムに見えます。編み方が、一つの輪に一つの輪が編まれています。シンプルなデザインだからこそ、チェーンの太さやカット面数などの細かな違いで印象が大きく変わります。ぜひ、その違いも愉しみながら気になる種類を見つけてみて下さい。

6面ダブル

 上下2面、左右4面、合計6面の平面に囲まれたチェーン。コマが一つのコマに二つのコマがかかっているダブル喜平タイプです。シングルの喜平に比べると幅が広くて厚みが薄いので、若干ワイドに見えます。また、密度が高いため金属の輝きが豪華で華やかな印象です

8面トリプル

 上下2面、左右6面、合計8面の平面に囲まれたチェーンのコマが一つのコマに3つのコマがかかっているトリプル編み。シングルに比べると幅が広くて厚みが薄いので少しワイドに見え、カット面の輝きが強くなります。加工が多いほど手間がかかる為、価格も上がります。

長さの種類

 喜平ネックレスはカット面の数や重さのほか、チェーンの長さによっても雰囲気が異なります。実際の着用においては、カットソーやニットなど襟がないものと合わせるか、シャツやジャケットなど襟があるものと合わせるかによって印象が大きく異なります。
 またレディースとメンズで、ネックレスのチェーンの長さの目安は異なります。 レディースの場合は40㎝~45㎝がおすすめです。 なかでも40㎝は一般的なネックレスの中でも最も短く、主に女性が身に着ける長さとして知られています。 首周りに沿うぐらいの長さで、首元を綺麗に見せたい時におすすめです。メンズの場合は50㎝~60㎝が一般的です。

留め具の種類

 カットの種類や編み方の違いでチェーンの見え方も違ってきます。
 断面が2つのものは2面喜平、6つのものは6面喜平、8つのものは8面喜平と呼ばれています。 多いものでは12面喜平があり、とても人気が高い種類です。 さらに多いものでは16面喜平というものもあります。 喜平ネックレスは平面の数が多いほど繊細な加工が必要となり、高い技術が求められます。
 金具の種類は大きく分けて引き輪タイプと中折れ留めの2種類あります。中折れ留めには、落下防止のストッパー金具が側面に付いてます。

喜平の価格の違いとホールマーク

 基本的に喜平の価格は、グラム数が多いもの、カット数が多いものほど値段が高くなります。また貴金属として資産価値も高い喜平は、金相場・プラチナ相場によっても価格が変化します。喜平をご購入・所持したいと検討されている方であれば、信頼できるお店で買われるのが一番だとは思いますが、その見極め方の1つとして「ホールマーク(造幣局検定マーク)」を確認するとよいでしょう。
 ホールマーク(造幣局検定マーク)は、貴金属製品の品位証明する証明記号です。ネックレスやブレスレットであれば、留め具に刻印されています。ホールマークの刻印は任意のため、無いから偽物というわけではありません。日本国内で作られたものには素材の刻印が入っています。

喜平の素材

 喜平ネックレスの素材として最も一般的であり、なおかつ人気が高いのが18金(純度75%)です。純度が高いゆえに熱や衝撃に弱い24金(純度99.99%)よりも扱いに優れているのが理由です。素材別でいえばプラチナ製の喜平ネックレスもあります。Pt950(純度95%)からPt850(純度85%)が一般的で、金と同様に柔らかいため扱いづらいとされますが、技工を凝らした純プラチナ(純度99.95%以上)製のものもあり、こちらも高い人気を誇ります。金もプラチナも純度が高ければ高い方が価値も高くなるのが一般的ですが、実際に使用することを想定するのであれば、使いやすさも考えて選びたいところです。

高い資産価値を持つジュエリー

 喜平ネックレスは実用的なジュエリーとしてだけでなく、実物資産としての側面も見逃すことはできません。18金や24金などのように比較的純度の高い喜平ネックレスは、ジュエリー類のなかでも高い資産価値を持つとみなされます。
 一般的に18金や24金のジュエリーを作ろうとする場合、加工が複雑になるため他の金属を配合して強度を高めたり加工の際に大きなコストがかかったりします。しかし喜平ネックレスはチェーンを組み合わせるというシンプルな形状をしているために金の純度が高いまま加工でき、製作コストも比較的かからなくて済みます。
 価格全体に占める加工費が少なく、かつ延べ棒やコインなどのように金そのものに近い価値を持つジュエリーなのです。そのため喜平ネックレスを投資目的で購入し、実物資産として保有している方も少なくありません。

 18金や24金など比較的純度の高い喜平ネックレスはジュエリーとして使うのも、もちろんいいのですが、使わずに眠らせておいても資産としての価値を有しているため投資目的で保有するのもおすすめです。換金性にも配慮したい方にも喜平ネックレスはおすすめできるアイテムです。