PINK DIAMOND  ピンクダイヤモンド

 天然のピンク色をしたダイヤモンドが存在するのをご存知でしょうか。
 天然ピンクカラーのダイヤモンドは、地球の永い営みから奇跡的に誕生した極めてめずらしいダイヤモンドです。誕生の過程で少しずつピンク色に変化したもので、ピンクに色づいた理由も未だに解明されていない、とても神秘的な宝石です。
 今回はピンクダイヤモンドについてご紹介いたします。

ピンクダイヤモンドの稀少性

 ピンクダイヤモンドが採掘される量は、透明のダイヤモンドに比べて極端に少ないため、透明なダイヤモンドよりも稀少性の高い、高価な宝石として世界的にも有名です。その稀少性ゆえに、「愛」と「幸福」のシンボルとされ、身につける人に幸せを運んでくれる宝石といわれています。
 鮮やかなピンク色を放つ発色の美しい天然のピンクダイヤモンドが採掘される場所は、オーストラリアのアーガイル鉱山に限られています。世界で供給されるピンクダイヤモンドの約90%が、アーガイル鉱山で産出されています。しかし、良質なピンクダイヤモンドを産出してきたアーガイル鉱山が、2020年にピンクダイヤの枯渇により閉山となり、世界中のピンクダイヤモンドの供給がストップしてしまいました。それによりピンクダイヤモンドの稀少性はさらに高まる一方となり、資産価値の高い宝石として世界中の注目を集めています。

ピンクダイヤモンドのカラーグレード

 ピンクダイヤモンドといっても、ピンクの色味は一様ではありません。自然が育む天然石であるからこそ、二つとして同じ色が無いといわれるほど、様々なピンク色があります。
 透明なダイヤモンドとは異なり、ピンクダイヤモンドの価値は、ピンクの発色の美しさと重さで評価されます。稀少な宝石のためカットにこだわることで、ピンクダイヤの重量が目減りしてしまうことを避け、クラリティについても、内包物が比較的多い特徴があることから、まずはカラーグレードが最も重要な評価基準とされます。色鮮やかなピンクダイヤほど、より稀少で人気も高く、貴重なダイヤモンドとして扱われているのです。
 ピンクダイヤのカラーグレードは、濃いピンクから淡いピンクまで、色の濃さにより分類されています。

カラーの等級

ピンクダイヤモンドの評価基準には色の濃さで9段階、色のタイプで4種類あります。

① FANCY VIVID   (ファンシーヴィヴィッド) 上質で鮮やかな
② FANCY INTENSE (ファンシーインテンス)  上質で濃い
③ FANCY DEEP    (ファンシーディープ)   上質で深い
④ FANCY DARK    (ファンシーダーク)    上質で暗い
⑤ FANCY         (ファンシー)       上質
⑥ FANCY LIGHT   (ファンシーライト)    上質で薄い
⑦ LIGHT         (ライト)         薄い
⑧ VERY LIGHT    (ベリーライト)      非常に薄い
⑨ FAINT         (フェイント)       ほのかな、弱い

色の種類


① PINK          (ピンク)         通常のピンク
② PURPLISH PINK (パープリッシュ ピンク) 紫色がかったピンク
③ BROWNISH PINK (ブラウニッシュ ピンク) 茶色がかったピンク
④ ORANGISH PINK (オレンジッシュ ピンク) オレンジ色がかったピンク

 色はもちろん濃い方が評価が高いですが、一応ファンシー以上がおすすめです。色の種類については通常のピンク色が高評価ですが、少し紫色がかったパープリッシュピンクも美しくて人気が高く、通常のピンクより高価な場合もあるようです。この2種類に比べるとブラウニッシュピンクとオレンジッシュピンクはかなり評価が落ちます。
 クラリティー(キズ・内包物)やカット(研磨状態)は良いに越したことはありませんが、肉眼ではっきりわかるほどのものでなければ、カラーダイヤモンドの場合は色が命ですから、それほどこだわる必要はないとされています。

注意点

 問題はカラーダイヤモンドが天然ならいいのですが、中には人工的処理によるものがありますので鑑別書などで確認する必要があります。ダイヤモンドの表面に色を付けるための薄い膜をコーティングしたものがいずれコーティングがはげて色が薄くなったり、まだらになったり、あるいは完全にとれてしまうものがありますので注意が必要です。信頼できるお店でのご購入がおすすめです。


 今回は、ピンクダイヤモンドについてご紹介しました。ピンクダイヤモンドは色によってその価値が決まり、濃く鮮やかなピンク色ほど価値が高くなります。アーガイル鉱山の閉山により、その希少性はさらに高まっているため、もしかしたら、天然のピンクダイヤモンドは今後買えなくなるかもしれません。美しく、可愛らしく、さらに稀少性が高まるであろうピンクダイヤモンドと、もしどこかで出逢えたら、その時がお買い時かもしれません。